ONI – 超解像顕微鏡システム
Aplo Scope |次世代型 超解像顕微鏡システム
Aplo Scopeは、ONI社が開発した最新の超解像顕微鏡プラットフォームで、1分子レベルの観察を可能にするSMLM(Single Molecule Localization Microscopy)技術をベースに設計されています。従来の大型装置とは異なり、ベンチトップサイズでありながら、複数の照明モードと高精度な光学系を搭載し、研究室レベルでのナノスケール観察を実現します。
主な特長
- 分解能:約20 nm(dSTORM/PALMモード)
- 照明モード:TIRF(全反射)、HILO(傾斜照明)、エピ蛍光
- カメラ:高感度sCMOSセンサー搭載
- ソフトウェア:NimOSによる自動キャリブレーション、取得、解析
- 設置性:暗室・振動台不要、ベンチトップ設置可能
各観察モードに関して
観察モード | 原理・特徴 | 原理・特徴 主な用途・利点 |
---|---|---|
dSTORM (direct Stochastic Optical Reconstruction Microscopy) | 蛍光分子の点滅を利用して、ナノスケールで位置を再構築する超解像技術 | 分解能約20 nm。細胞内構造の詳細観察に最適。固定サンプル向け。 |
PALM (PhotoActivated Localization Microscopy) | 光活性化蛍光タンパク質を用いて、個々の分子の位置を高精度に特定。 | ライブセルにも対応可能。タンパク質の局在解析に有効。 |
TIRF (Total Internal Reflection Fluorescence) | カバーガラス近傍(約100 nm)だけを励起する照明法。 | 細胞膜近傍の分子動態観察に最適。高S/N比で背景が少ない。 |
HILO (Highly Inclined and Laminated Optical sheet) | レーザーを斜めに照射し、薄い層だけを照明。 | TIRFより深い領域(数μm)を観察可能。ライブセルに適しており、背景も抑えられる。 |
Widefield | サンプル全体を均一に照明する従来型蛍光観察 | 観察範囲が広く、スクリーニングや全体像の把握に便利。分解能は通常の光学顕微鏡レベル。 |
主な用途
- 細胞膜・細胞骨格の構造解析
- タンパク質のクラスタリング・分布評価
- ウイルス粒子やナノ粒子のトラッキング
- ライブセルでの分子動態観察
Nanoimager|超小型 超解像顕微鏡
Nanoimagerは、ONI社の代表的製品であり、世界中の研究機関で導入されている超小型の超解像顕微鏡です。215 mm角の筐体に、複数の照明モードと高性能光学系を集約し、ライブセル観察から粒子トラッキングまで幅広い用途に対応します。
主な特長
- サイズ:215 × 215 × 155 mm(持ち運び可能)
- 分解能:約20nm(超解像モード)
- 観察モード:dSTORM、PALM、TIRF、HILO、Widefield
- ソフトウェア:NimOSによる取得・解析・マッピング
- 連携:CODIによるクラウド解析、ONI Kitsによる試薬最適化
主な用途
- 細胞内分子の局在解析
- ナノ粒子の動態観察
- 創薬スクリーニングにおける分子挙動の定量評価
Aplo ScopeとNanoimagerはどちらもOxford Nanoimaging(ONI)社が開発した超解像イメージング顕微鏡ですが、設計思想や使用シーンに違いがあります。以下に主な違いを整理しました:
Aplo Scope と Nanoimagerの違い
項目 | Aplo Scope | Nanoimager |
---|---|---|
設計意図 | より簡便で直感的な操作性を重視。初心者から熟練者まで幅広く対応。 | 高度な機能をコンパクトに集約。研究者向けの多機能ベンチトップ型。 |
分解能 | 約15 nm(SMLM) | 約20 nm(dSTORM時) |
視野 (FOV) | 110 μm × 110 μm | 50 μm × 80 μm(100倍対物) |
レーザー構成 | 4波長(405, 488, 561, 640nm)で最大5色ラベルに対応 | 同様の4波長構成。2色同時観察可能 |
観察モード | dSTORM, PALM, TIRF, HILO, Widefield(すべて対応) | 同左 |
ソフトウェア | NimOS(撮影・解析統合)+CODI(クラウド解析) | 同左 |
設置性 | コンパクト設計でラボに柔軟にフィット | クリーンベンチ内設置可能。除振台・暗室不要 |
主な用途 | ライブセル観察、創薬研究、バイオマーカー解析など | 細胞構造解析、粒子追跡、smFRET、3D位置解析など |
選定のポイント
- Aplo Scopeは「操作性・柔軟性・視野の広さ」を重視した設計で、ライブセルから超解像まで一貫して使うことができます。
- Nanoimagerは「多機能・高精度・解析力」に優れ、粒子解析やsmFRETなどの特殊用途にも対応できます。
Aplo Flow|自動化サンプル前処理システム
Aplo Flowは、超解像顕微鏡観察に必要なサンプル前処理工程(固定、染色、洗浄、封入)を完全自動化するロボティックプラットフォームです。再現性の高い処理と大幅な作業時間短縮を実現し、研究者の負担を軽減します。
主な特長
- 処理能力:最大12サンプルを4.5時間で処理
- ハンズオン時間:従来比85%削減
- 構成:ピペットロボット、液体制御モジュール、チップホルダー
- ワークフロー:35通り以上の処理プロトコルに対応
- 連携:ONI顕微鏡との統合運用可能(将来的に自動連携)
主な用途
- 細胞固定・蛍光標識の標準化
- ナノ粒子の封入処理
- 高スループット実験における前処理工程の自動化
CODI|クラウドベース画像解析プラットフォーム
CODI(Cloud-based ONI Data Interpretation)は、ONI顕微鏡で取得した画像データをクラウド上で解析できる専用プラットフォームです。専門的な画像解析を、直感的な操作で誰でも実行できるよう設計されています。
主な特長
- 解析機能:ローカリゼーションマッピング、粒子トラッキング、クラスタリング、距離・密度解析
- 操作性:ブラウザベース、インストール不要
- 出力形式:Excelレポート、グラフ、統計データ
- セキュリティ:専用クラウド環境でデータ保護、アクセス制限設定可能
- コラボレーション:複数ユーザーによる共同解析にも対応
主な用途
- 分子間距離の定量評価
- タンパク質クラスタリングの統計解析
- 時系列データによる分子動態の可視化